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専慶流いけばな真樹会主宰/西阪慶眞作 |
人は言います「過ぎた時は、取り戻せない。刻まれた歴史は、変えられない」と。確かにそうです。どんなに努力をしても、過去に刻まれた出来事は、変えることも、消し去ることもできません。だからこそ過去の事実はそれを踏み台にして、一歩前進、新しい夢や希望に向かっていくための、エネルギーに換えなければならないのです。
しかし現代社会の中に生きる人々の中には、過去に縛られ、新しい時を夢見る勇気と力を忘れ(どこか諦めや覚めた心で)自分自身に与えられた大切な時を無駄に過している人はいないでしょうか。積み重ねられた過去の事実は、それを言い訳に心を後退させるのではなく、新しい時へ向かって、与えられた人生最後まで、夢を見、夢を追い続けて、惜しみない努力を続けてゆくための大切な糧でなくてはならないと思うのです。美智子妃殿下は「人生は複雑さに耐えていくこと」とおっしゃっています。
人は誰もが心のどこかに、夢を、憧れを持っているもの。ただ、生きることに不器用な人は、どんな思いも、過去が今を支配し、これからの自分をも一方的に決めつけてしまうきらいがあります。「もう今さら」と全てを諦めてしまっては、今までの努力は水の泡ではないでしょうか。
だから今、全ての人に分け隔てなく降り注ぐ、365日。たまには「自分自身に対し、自分が我が儘になってみては」と思うのです。人の思い、人の評価に心奪われてはいけません。変えられない、消すことのできない過去の事実に自ら言い訳をし、時に自分勝手な理由を付け、今、今日始まる新しい時間に、夢と希望を繋いでゆくために。そう、誰でもなく、自分自身に対して我が儘になってみるのもよいのではないでしょうか。
自らのどこまでも拡がり続ける未来に向かって、新たな自身との出会いに向かって威勢良く日々歩み続けたいと言い聞かせています。一番愛する自分自身のために。
いけばなはそのよきパートナー。思い切った発想が創り出す今日のいけばなとともに、身も心も一新させたいものです。